大手企業の検査データかいざんについて

最近ニュースで、大手企業が検査データをかいざんするという話題が多い。
最近の話題では、耐震装置偽装の疑いで、ある大手企業が検査データをかいざんしたというのが新しい。
この改ざん問題は、大手車メーカーでも過去に数回行われており、安全という言葉が疑問視されている。
日本の製品は安全だ!というのが日本製品の強みであるのに、なぜデータかいざんをしてしまうのだろうか。

 

私は製造職に勤めているが、現場というのは、とにかく限られた時間で、いかに高品質の製品を工夫して早く作るかがポイントとなっている。
最近は働き方改革により、残業がしにくくなったが、毎日の業務量は変わらないので、残業しないように仕事をこなしていかなければならない。
つまり、詰め込みの仕事になっており、労働時間が減る→業務量も減るという方程式ならいいのだが、労働時間が減る<業務量は変わらないという方程式では現場はきつくなってるのは否めない。
そして、経営陣は数字のみを見て、現場を見て実際に現場の作業員がどんな仕事の量をこなしているか、把握していないことが多い。
こういった経営陣がいるおかげで、現場の人間は、「時間がないので改ざんしてもいいだろう」となってしまうのである。
そして、改ざんが問題視されると、経営陣は「把握していませんでした。私どもは知りません。」を言う。

 

思うに、経営陣が現場の作業員の仕事の量を把握しないでどうするのだろう。一人ひとりの仕事の量や質をしっかり見て、そのつど的確な指示を与えるのが経営陣の仕事ではないだろうか?
目先だけの利益だけにとらわれていて、安全という言葉を忘れていないだろうか?
日本の製品は、安全で頑丈で長持ちするというのがコンセプトだったのではないだろうか?


最近は人手不足やITの進歩により、よりコストダウンがしやすくなり、人の手を借りなくても自動化によってスムーズに業務が進むようになった。
しかしながら、目先の利益と数字のみで周りが見えていない経営陣が多くなったように思う。

今回の耐震装置偽装の問題は、内部告発によるらしいが、数十年にわたって行われてきたというから驚きである。
最近は地震も多いし、こういった安全面が重要視されてきている中で、この検査データ改ざんという問題は非常に残念に思えてならない。

ニュースによると、改ざんされた製品はすべて交換するということであるが、かなりのコストがかかるだろう。
もしかしたら、社員が解雇されるかもしれないのである。
一生懸命製品を作ってきた作業員が解雇されるなんて、理不尽ではないだろうか。

 

今の時代はSNSなどで簡単に情報が拡散される。一度社会にとってマイナスな情報が流れてしまうと、たとえ大手企業であっても倒産することもあるだろう。
そうなったら困るのは会社で働いている社員であり、経営陣だけでは済まされない。「あそこで作っている製品は過去にデータ改ざんしたことがあるんだって。」とレッテルを貼られてしまったら、簡単にマイナスのイメージを覆すことはできない。
つまり、一度会社のイメージが悪くなったらそのイメージを良いイメージにするには至難の技なのである。
そのような重大な問題を経営陣は知りませんでしたで済ますのだろうか?
私なら、一度データ改ざんした製品を作る会社でモノを買おうとは思わない。
もしかしたら、また改ざんした製品かも?と思ってしまうからだ。

今の日本の企業は利益のみを追求していることが多いので、個人的には上司や経営陣に対して、もう少し現場の人間の意見をしっかり聞いてほしいものである。